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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

とうとう、書いた。

「萩乃殿――唐突ながら、わすれねばこそ思いいださず候」

こいつはどこかでみたような文句だ。ちょいと借用したんです。

「かわいいかわいいと啼く明け烏に候」

これは自分ながら上出来だと、左膳、ニヤニヤしたものだ。

「鳴く虫よりも、もの言わぬ螢がズンと身をこがし候。さて、小生こと明日出発。埋蔵金を掘りにまいる所存、帰府のうえ、その財産をそっくり持参金として、おん身のもとへ押しかけるべく候。たのしみにしてお待ちあれ。頓首頓首」

これだけの文句です。アッサリしたもの。しかしどうもあきれたものだ。支離滅裂……右の腕も右の眼もなく、傷だらけのところは争われないもので、はなはだ筆の主左膳に似ていると申さなければなりません。

左膳らしい恋文。ブッキラ棒で、ひとり飲みこみで、何がなんだかわからない。

唐突ながら――と冒頭に自分でもことわってるとおり、いかにも唐突。

これを受けとった萩乃さんは、どんなにおどろくことでしょう。二度よみかえして、ふきだしてしまわなければいいが。

たのしみにしてお待ちあれ……ナンテ、冗談じゃない。誰が楽しみにするもんか。

だがその左膳は大得意、