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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
「今までどこにおった。壺は、どうした」
どこへ行っても壺は? ときかれるので、与吉はすっかり腐ってしまう。
でも、今はそれどころではないので、壺のことは、丹下左膳という得体の知れない人斬り狂人におさえられてしまったと、その一条をざっと物語ると、ジッと眼をつぶって聴いていた丹波、
「壺の儀は、いずれ後で詮議いたす」
源三郎と同じことを言って、
「与吉、あの男に気がついたか」
と、ためいきをついた。
「気がついたかとおっしゃる。冗談じゃございません。あの男に気がつかないでどういたします。あれこそは、峰の殿様、品川に足どめを食ってるはずの源三郎で……」
「声が高いぞ」
と丹波は、押っかぶせるように、
「一同を品川に残して、そっと当方へ単身入りこんだものであろうが、はてさて、いい度胸だ」
「あなた様は、前から御存じだったので?」
「うむ、知っておった。秘伝銀杏返し――イヤナニ、其方の知ったことではないが、この丹波、ちゃんと見ぬいておったぞ」
「それで、どうしてお斬りにならなかったので?」
「斬る? 斬る? 伊賀のあばれン坊を誰が斬れる?」
丹波は、またしずかに眼を閉じて、