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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

02 こけ猿の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页

青空文庫

おれとおめえは、今夜はじめて会って、いきなり斬り結び、またすぐ味方となり、力をあわせて、この道場の者と渡り合った……とまれ、世の中のことは、すべてかような出たらめでよいのかも知れぬな、アハハハハ」

「邪魔者が去った、いま一手まいろうか」

闇の中で、あお白く笑った源三郎へ、丹下左膳は懶げに手を振り、

「うむ、イヤ、また後日の勝負といたそう。おらアお前をブッタ斬るには、もう一歩工夫が肝腎だ」

「いや、拙者も、尊公のごとき玄妙不可思議な手筋の仁に、出会ったことはござらぬ。テ、テ、天下は広しとつくづく思い申した」

濡れ燕を鞘におさめた左膳と、峰丹波の刀を草に捨てて、もとの丸腰の植木屋に戻った柳生源三郎と――名人、名人を知る。すっかり仲よしになって本郷の道場をあとに、ブラリ、ブラリ歩きだしながら、左膳、

「だが、おらアそのうちに、必ずお前の首を斬り落とすからナ。これだけは言っておく」

「うははははは、尊公に斬り落とさるる首は、生憎ながら伊賀の暴れン坊、持ち申さぬ。そ、それより、近いうちに拙者が、ソレ、その、たった一つ残っておる左の腕をも、申し受ける機がまいろう」

左膳はニヤニヤ笑って歩いて行くが、これでは、仲よしもあんまり当てにならない。