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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「いやいやそれは少し違う。お吉が殺すと騒いでいるのは、兄の紋十郎じゃということじゃ」
「いやいやそれもちと違う。つまりお吉は兄紋十郎へ、自害を勧めているのじゃそうな。兄さんすぐにもこの鎌で立派に自害なさりませと、こう云って追い廻わしているのじゃそうな」
「いずれにしても気の毒なものよ」
「ところで右衛門はお吉を棄てると、すぐと島君と恋仲になり、しげしげ和佐保町へ通うということじゃが、とんだ果報の色男じゃの」
「ずっと前から島君の方では、右衛門に恋していたのじゃそうな。それでお吉と別れたと聞くと、女の方から血道を上げ、誘惑に掛かったという事じゃ」
「ところが……」と一人が打ち消した。「ところが、好事魔多しでな、今も噂に出た紋十郎が、これまたずっと以前からその島君に参っていて、通い詰めていたということじゃが、その恋人の島君を、右衛門に取られたと知るや否や、阿修羅のように荒れ廻わり、どこから金を持って来るものか、日ごと夜ごとに和佐保へ出て行き湯水のように蒔き散らし、右衛門めの男振りと、この紋十郎の金の力と、どっちが勝つか決闘じゃと、えらく買い煽っているということじゃ」