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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
あれは索道というものじゃ。これここに柱があろう。索道を支えている柱なのじゃ。索道には丈夫な蔓で編んだ大きな籠が釣るしてある。人なら三人ぐらいははいれる籠じゃ。そしてその籠は人手を借りずに空に懸け渡した鉄の縄を自由自在に渡って行くのじゃ。金木戸川の水を湛え、その水の力で動かすのじゃそうな。グングンと唸っているあの音は、籠が渡る時擦れて響く音なのじゃ。この索道の役目というは鉱石や材木を運ぶことじゃ。ところで今夜は暴風雨ではあり、それにもう仕事を止める頃じゃ。で、今こっちへ近寄って来る幾個かの籠はみな空じゃ。そこで俺達は柱を登り、籠が来た時引っ捉えてそれへ打ち乗り谷を越すのじゃ。幸いのことには索道は硫黄ヶ滝まで通っている!」
怪しい梟
「索道はそれでは硫黄ヶ滝まで通っているのでござんすか?」
「おおとも、硫黄ヶ滝まで通じておるわ!」
「おお有難や助りました! さあそれでは一刻も早く柱を上がって籠に乗り……」
「山を越し谷を渡り……さあ俺が先に登る。柱には大釘が打ってある。それを足場に後から来な」
雨に打たれ嵐に吹かれ死ぬばかりに体は疲労れていたが、情夫の一大事と、島君は丑松の後に従って、そそり立った柱によじ登った。