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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
冠者の右側に胡坐しているのは思いもかけぬ裸体武兵衛で、例に依って素裸、わずかに股間を隠しているばかりだ。
何より三人の驚いたのは、殺されたと思った市之丞が多少の衰弱は見せながらも端然と円座に坐っていたことであるが、もう一つ三人を驚かせたのは、兇悪無惨の鬼王丸が、白虎、青竜、玄武、朱雀の、四天王もろとも高手小手に縛められていることであった。
で、三人は意外の光景が意外の場所に展開されたのに、驚きの念をさらに重ね、しばらくは物さえ云えなかった。
と、その時、御嶽冠者は鷹揚に微笑を頬に浮かべたが、
「妖怪変化にあらざることこれにてお解りでござりましょうな。……実は私事事情ござって当岩石ヶ城まで参りましたるところ、不届き至極の鬼王丸めが、聖徳隠れなきご老師に対し、無礼のみか迫害さえもし、城中混乱に墜落りたる次第を、偶然耳に致しましたれば、鬼王丸めを即座に縛し、貴意にお任せ致したく存じここに控えさせましてござります。尚、ご老師のご同勢の一人、神保市之丞と申される仁をこれまた偶然の事情によってその行方を知りましたれば、慇懃にご介抱申し上げ連れ参りましてござります。