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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
と才蔵はやりだした。
「正直のところ手前達は宝物を奪いに来たんだろう! へ、ちゃあんと書いてあらあ! そうよ、お前の額にな!」
「黙れ小僧!」
と人丸左陣初めてこの時一喝した。
「二種の宝には主はない筈。何んで奪いに参ろうぞ! ただ宝を発見けに来たのじゃ!」
「いいや宝には主がある。この俺こそ守り主じゃ」
才蔵なかなか負けてはいない。
「なに汝が守り主じゃと! 誰に頼まれて宝を守る。さあそれを申して見よ!」
「別に誰にも頼まれはせぬ。勝手に俺が守るのじゃ!」
「アッハハハ、おおさようか、おおかたそうだろうと思っていた。……勝手に貴様が守るなら、勝手に俺は持って行くまでじゃ」
つと人丸は進み出た。
「ならぬ!」
とそれを遮るように才蔵もつと進み出た。
「えい邪魔だ! 小僧退け!」
「えい邪魔だ! 泥棒退け!」
「これ邪魔すると手は見せぬぞよ」
「これ邪魔すると手は見せぬぞよ」――才蔵相手の真似をする。
「えい!」
と掛け声。閃めく白虹。間一髪に才蔵は飛んで、姿は宙に消えてしまった。と、その瞬間に白狼呻を作して飛びかかる。それを躱して颯と切る。――ウオと一声吠えながら、鞠のように地に転がる。