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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「ごめん遊ばせ」と小腰をかがめ、恐れ気もなく近寄ったが、「よい焚火でございますこと、どうぞあたらしてくださいまし」
しかし老人は返辞をしない。堅くその眼を閉じていた。
と、突然老人は、手を一つポンと拍ったが、
「善いかな善いかな善い相好じゃ! 女ながらも将帥の器、これなら秘法の解釈を、譲り渡しても心配はあるまい。娘よ、秘巻をひらくがよい!」凛とした声でこう云った。
巻物を読む
「はい」
というと威厳に打たれ、鳰鳥は思わず手を支えたが、その手を懐中へ差し込むと、例の巻物を取り出した。
「はて、冒頭に何んとあるな!」
「はい」と云うと鳰鳥はスルスルと巻物を押しひらいた。
「『番兵――何故に来れるや?』このように書いてございます」
「ふむ、そうしてその次には?」
「『入国者――即ち姓名を軍中に列し、天朝の義臣たらんがためなり』このように書いてございます」
「ふむ、そうしてその次は? ……先をズンズン読むがいい」
で、鳰鳥は読んで行った。
番兵――如何んか兄弟を要するを知れる?
入国者――天の告げにより、地の告げにより。
番兵――然らば如何んの人間か、汝に教えて来らしむ?