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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
と叫ぶと同時にヌッとばかりに立ち上がったが、これぞ最後の生命力で、そのままバッタリ倒れたかと思うと全く老人の息は絶えた。
「とうとう死んだ、可哀そうに」鳰鳥は傷ましく見やったが、捨てて置いては獣の餌食、それではいかにもあさましいと、土を掘って埋めることにした。
ふとその時眼に付いたは例の一巻の巻物であった。
「由縁ありげのこの巻物、このまま一緒に葬っては再び世に出る機会はない。ひとまず妾が預って置いて、ゆかりの者に逢った時、事情を話して渡してあげよう」
そこで巻物を懐中し、やがて鳰鳥は先へ進んだ。「どうかして人里へ出たいものだ」思い思い辿って行ったが、益※(二の字点、1-2-22)深山へ入り込むばかり、容易に出ることは出来なかった。「せめて夜でも明けてくれたら」こう思ったが晩秋の夜は、これまた容易に明けそうにもない。
でズンズン歩いて行った。
と、遥か行手にあたり、火光がチラチラ見えて来た。
「杣の灯す灯火か? それにしては火勢が強い。山賊どもの焚火かもしれない」多少不安はあったものの、人恋しさに誘われて彼女はその方へ小走って行った。
近付くままによく見れば、一人の気高い老人が、枯枝を集めて火を焚いていた。