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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

酒宴、恋愛、修辞学――毎日毎日繰り返された。そうして力業を軽蔑し、みんな奴婢族に押し付けてしまった。

虹のような花園、珍奇な動物園、図書館、劇場と云うようなものまで、彼らは自分の手に持っていた。

そうして彼らは安心していた。絶対に自分達の境国は、他の民族からは襲われず、永久に平和だと思っていた。

彼らは自分達以外の者を、「俗流」と呼んで卑しんでいた。そうしてそれら俗流は、彼ら「麗人族」に奉仕するべく、この世に現われた者どもであると、こう傲慢に思ってさえいた。

一里四方しか持っていない、彼らの境国は彼らにとって、狭くて不便なものであった。

そこで彼らは十年前から、十里四方の大建築――彼らの新しい境国の、建築事業に着手した。大石を切り出し大木を倒し、瀝青を練り彫刻を施し、着々と工事を進めて行った。と、障害にぶつかった。

「黄泉の岩根」の住民どもが、にわかに妨害をしたのである。

「黄泉の岩根」というこの言葉は、死の国を連想させるけれど、そういう意味は少しもなく、彼らの住んでいる谷底の地が、いかにも陰気で物凄いので、「麗人族」の連中が、軽蔑してそんなように云ったまでであった。