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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
そこに住んでいる連中を「麗人族」達は「獣人」と呼んだ。もちろん軽蔑した言葉である。しかしまさしくこの言葉は、彼らの身の上にあて嵌まっていた。彼らの肉体の逞しさと、彼らの腕力の絶倫さと、彼らの無知と非審美性とは全く人間というよりも、猛獣の方へ近かった。
ただし彼らは正直であった。そうして燃え易い性質であった。団結力も強ければ、「麗人族」の生活振りを憎み妬む感情においても、かなり旺盛なものであった。
彼らはあたかも切って嵌めたような、文字通りの筋肉労働者で、朝から晩まで立ち働いた。そうして辛うじて生活した。働かなければ食えないのでもあった。
それは鳰鳥が「双玉の原」から「麒麟山」へ上った同じ日の、まだ払暁のことであったが、「麗人」の領主大物主は、群臣を左右に引き連れて、本城の階段に立っていた。
蒼々と晴れた冬の朝で、峰々は清々しい白雪を冠り、射し出たばかりの朝の陽に、瑪瑙色に輝いていた。
蜒々山を越し谷を渡り、長蛇のように延びているのは、新築工事の城壁であったが、工なかばにして中絶したものである。
本城の前庭には凍った噴水が、春を待つように静まっていて動物園の檻の中では、熊が元気よく嘯いていた。