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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

「俺らの方が大勢だ!」

「俺達の方は山上にいる」

「引きずり下ろされない用心をしろ」

「お前達は谷底にいる」

「だから上へ上がるのよ! これ以上下がる心配はない」

「俺はお前達を攻め亡してやる」

「俺こそお前達を鏖殺してやる。……俺らは戦争に慣れている。死ぬことなどは恐れない。俺らは生活そのものが、いつも流血の戦争なのだ! それに反してお前達は、享楽主義で命が惜しく、戦争をひどく恐れている。……勝敗の数は自ら知れる!」

荒玉梟帥は立ち去ろうとした。

「おお待ってくれ待ってくれ!」

領主はふたたび呼び止めた。

「明日までだ!」と領主は云った。「明日の晩まで待ってくれ! それまでに確かな返辞をしよう。開戦と決まったら太鼓を打とう。そうして赤い火を焚くことにしよう。和睦となったら鐘を打とう、そうして青い火を焚くことにしよう」

荒玉梟帥は頷いた。それから悠然と引き上げて行った。

この日の夕方意外の人物が麗人国へはいって来た。他でもない鳰鳥である。

鳰鳥の美しい容貌は、美人の多いこの国でも一頭地を抜くに足るものがあった。

「いったいどこから来たのだろう?」

「いったいどういう人間だろう?」