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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页
「さあ」と侍は笑を含み、「お見受け致すところ各方も、拙者と同じご浪人で」
「いかにもお手前の仰せの通り、吾らはいずれも浪人でござる」頭領はそこでニタリと笑い、
「いやいや吾らは浪人というよりもむしろ野武士の集まりでござる」
「なるほど」と侍は驚きもせず、「実は拙者もそう見申した」
「そこで吾らのお願いと云うは……」頭領はそろそろ切り出した。「他でもござらぬ、いかがでござろう、お手前浪人とあるからは、誰に遠慮もいらぬ筈、殊に戦国の世でござれば、切り取り強盗は武士の習い、決して恥ずべき事ではござらぬ。吾ら野武士の一味に加わり、万事お指図を願いたいもので」
云い終えると頭領は眼を据えて旅の侍を見守った。
意外の頼みに旅の武士は、女と思わず顔を見合わせ、しばらくは無言で立っていたが、やがて微笑んでこう答えた。
「思いもよらない意外のお言葉、拙者驚き入り申した――そこで一言お尋ねしたいは、もしも拙者がお断わり致さばお手前は何んと致されるな?」
「さよう」と頭領は気の毒そうに、「もしもお味方くだされぬとなれば、やむを得ずお敵対致します。すなわち太刀は申すに及ばず、金子持ち物を頂戴いたす」