轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちけむりてんめいじん
血煙天明陣
国枝 史郎
「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页
こういってからお浦へいった。
「疲労れたであろう、早くお休み」
お浦は間もなく寝につき、安心したと見えグッスリと眠った。
その間に貝十郎はお浦の髪を解いた。
思ったとおり髪の中に、将軍様ご真筆の遺言状が、油じめりで文字さえ薄れ、もみくちゃになりながら隠されていた。
(あらゆる個所をさぐったが、よもやと思って髪の中までは、これまでさがしたことはなかった。で、もしあれば髪の中で、そこになければ将軍様の遺言状、お預かりしたと思ったは妄想、事実はお預かりしたのではあるまいと、そこまで見究めをつけて置いたが、はたして女の命より大事の、髪の中に可憐くも隠してあったわい)
遺言状をひらいて見た。
西丸の一ツ橋家斉卿を、十一代将軍に直すようにと、そういう意味のことが記されてあった。
それを貝十郎は桐の小箱へ納め、熨斗をつけ水引きをかけ、遺言状に似かよった紙片を、お浦の髪の中へひそかに入れ、小箱をたずさえると織江を籠めた、奥の座敷へはいって行った。
「まず復讐本懐のお慶び、貝十郎申し述べるでござりましょう。ご辛労のほどもお察し申す。次に田沼様お屋敷において、そなたを危険にさらしました段、拙者より改めてお詫び申す。