Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

八

自分の頭の中の憂欝や不安を投げつけるように。むろん、帽子は反動で、二三尺はねかえって床に落ちた。それから、上衣をぬぐと肱附いすの上に、たたきつけるように置いた。

彼は、頭の毛をかきむしった。そのように、頭の中のいろいろな不快をかきむしりたかった。村川の帰ったのを知って、女中が湯の案内に来た。だが、彼は頭を振って、ことわった。一刻も早く倭文子に会いたかった。自分で、倭文子の部屋におしかけて行きたかった。だが、今まで一度も倭文子の部屋を訪ねた事がないし、もう九時を廻っているらしいので、そんな事は思いも及ばなかった。ただ、どうかして手紙でも出したかった。だが、女中に手渡ししてもらうことが、危険である上に、自分でそっと手渡す機会なども、容易にあろうとは思えなかった。彼は、ふと考えついた。恋は多くの場合に発明の母であるが、彼もまたかいた手紙を邸外へ持って出て郵便で出すことを考えついた。それは廻りくどいことである。だが、しかし安全で一番適確な方法であった。しかも、一番疑われない方法である。彼は、その方法を考えつくとその馬鹿馬鹿しい廻りくどさと、しかも間違ないたしかさに、つい愉快になって、救われた明るい気持で机に向かった。