Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
二
「あら、村川さん。そこにいらっしゃるの?」
二階の窓から、茫然と顔を出していた村川を地上の美智子が見つけたのである。
村川は、返事が出来なかった。
「お姉さま、どこへいったかご存じ?」
「いいえ。」
「教えて上げましょうか。」
「どうぞ。」
村川は、うれしかった。
「ねぇ、ここへかきますよ。」
美智子は、六つだけれども、もうかたかなを教わっていた。地上に、指でかいた。
「わかりませんね。」
「そう、じゃ待っててね。」
美智子は、二三間かけ出して行ったかと思うと、地上に落ちていた竹ぎれを拾って来た。
「ねぇ。見ていらっしゃい。」
地上に大きくハヤマと書いた。
二
初夏の葉山の海は、緑にかがやいていた。
「地震後わたし初めてよ。まあ磯があんなに出てしまったわ。名島のところまでつづいていそうね。」
京子は、目をみはりながらいった。
倭文子は、葉山が初めてである。駿河湾を遠くへだててたなびいている灰色の雲の間に、見えがくれする真白な富士の姿さえめずらしかった。
二人をのせた自動車は森戸橋を渡り、黒い岩床が露出している海岸に沿ってすすみ、左へ大きいカーブをしたかと思うと、すぐ広壮な洋館の前に、ぴったり止まった。