Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
その部屋は陸に面した部屋だった。やっぱり洋室にこさえたのだが、その後模様がえして中には畳がしいてあり、茶箪笥が置いてあり、押入まで出来ていた。そのとなり、やはり陸に面した部屋は、書斎になっていた。卓の上に、去年の七八月頃の婦人雑誌などがつみ重ねられてあった。
「これ今井さんの奥さまが、読んでいたの。とても、おとなしい美人だったのよ。あなた一度会いやしなかった。」
「いいえ。」
「そうかしら、家へも一二度来たことがあるのよ。」
「そうですか。」
「いい奥さまよ、今井さんなんかに、惜しかったのよ。あんな馬鹿なお坊ちゃんなんかに。」
「まあ!」
「こんな別荘だって惜しいわねぇ。あんな馬鹿息子がこんな財産をつぐのが、今の資本主義制度の弊害ねぇ。」
「まあ!」
倭文子は、京子の顔を思わず見上げた。
「だから、せいぜいわたし達で、使ってやりましょう。こっちへいらっしゃい、とてもいいけしきよ。」
そういって、京子は先に立って廊下へ出た。
「あれが御用邸よ。ほら、海の中に細長い岩が出ているでしょう。あすこの所が御用邸。」
小さい美しい湾は、初夏のかぐわしい日の光の中に、ほのぼのとまどろんでいた。