Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいにのせっぷん

第二の接吻

菊池 寛

Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme

Aozora Bunko

三

あせればあせるほど、倭文子は上れなかった。

「倭文子さんは、運がわるいですね。ツーチャンスじゃありませんか。」今井がいった。

「とっくにツーチャンスになっていましたの。」

「それで上れないのですか、お気の毒ですね。」

そんな同情をされると、倭文子は一層かなしかった。

もう二三回で、一ラウンドが終ろうとしたとき、倭文子はやっと上った。

「ろん!」と、小さい声でいって倭文子は手駒をさらした。

「おめでとう。」

宮田が、そういってくれたのが、きまりがわるかった。

すると、そのさらした駒を、ジロジロ見ていた京子が、

「倭文子さん、間違っているわ。これ六筒じゃないの。」

七筒、八筒、九筒と数の順序に並べなければならぬ牌が七筒、六筒、九筒となっているのだった。間違って上ったと称することは、「冲和」といって、大きい恥であるばかりでなく、他の三人に、三百点ずつ罰料を払わねばならぬ大失策なのである。

「あら、どうしましょう。」

倭文子はいきなりさらした牌の上へ顔を伏せた。

三

牌の上に顔を伏せた瞬間、倭文子はさっきからの悲しさ、いや数日来のかなしさを抑えていた心が一時にゆるみ、あつい涙がとめどなく溢れて来た。