Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
五
だが、彼女はそこで、岩のわれ目に片足をとられたと見え、それをぬこうとしてあせっていた。
宮田は、やっとのことで幾度目かに倭文子の肩口をつかんだ。
宮田は、倭文子の肩口をつかんだまま物がいえなかった。
「はなして下さい。」
倭文子は、はげしく身をもだえた。
「いいえ。放しません。」
「はなして下さい! はなして下さい。」
倭文子は、身震いしながら、汚らわしげに宮田を振りはなそうとした。
「僕が、あやまります。どうぞ、一度だけ帰って下さい。」
宮田は、頭を幾度も下げた。
「いいえ。いいえ。」
倭文子は、宮田を振りはらって、すぐにでも海へ飛び入りそうな擬勢を示した。
五
そこはともすれば潮のしぶきが飛びかかるほど、海に近かった。倭文子は、岩の上にぴったり身体をくっつけたままはなれなかった。
「もう、決してあんなことはいいません。どうぞお帰りになって下さい!」
宮田は、両手をつかんばかりに頭を下げた。倭文子は、白く死面のようになった顔に、真赤な唇をぐっとかみしめていた。そして、少しもじっとしていないで、宮田に取られた右の手を振りほどこうとして、身をもがいていた。彼女のかぼそい全身が、蛇のようにうごめきながら、宮田に反抗した。