Japanische Klassiker mit Furigana
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だいにのせっぷん
第二の接吻
菊池 寛
Lesen Sie 第二の接吻 (だいにのせっぷん) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.960 Zeichen · 247 Bildschirme
そして愛人の手に懐かれて安らかな眠ったような顔を水上に浮べた。だが、村川は死に切れなかった。彼は、倭文子さえ、もがいてくれれば、それにつれて自分も溺れることを待っていたのだが、最初水に沈むと共に、倭文子はすぐ窒息してしまったので、彼女の美しいからだは、オフィーリヤのそれのように、水面に静かに浮んでしまった。それを抱いている村川は、少年時代から水には馴れ切っている。彼の足は、いつの間にか平泳ぎの型で水をかいていた。
だが、彼は倭文子の神々しいまでに美しい顔を見ていると、自分も早く彼女の後を追いたいと思うのであるが、彼の身体は十数年馴れている水の中へは、どうしても沈まないのである。冷静になればなるほど、彼は浮き切ってしまうのである。ただ彼はこうして山上の湖上の寒気のために、凍死するのを待つよりほかはないと思っていた。
彼の考えは間違っていなかった。最初は、身を切るように感じていた水の冷たさが、いつの間にかわからなくなったと思うと、青く湖心にすんでいる月の光が、朦朧となり、両腕に抱えている倭文子の顔が微笑したと思うと、彼はこの愛すべき倭文子をどうしてもはなすまいと、もう一度決心し直すと同時に、自分自身を失ってしまった。