후리가나로 읽는 일본 고전
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면
それにも拘らず、眼前に私を見詰めている人物が、ジイドだと気附かなかった原因は、そのとき、すでに二ヶ月も前にジイドがモスコウにいることを、私は聞き知っていたからである。モスコウにいる人が、ポーランドの国境から再びモスコウへ行くものとは、そのときの私には思えなかった。しかし、私が眼前の紳士をジイドだと気附きかけたのは、その紳士が食堂から出ていって姿の見えなくなったころからである。立ち上って出て行くときに、手にフランスの本を持っているところを見ると、あるいは文筆の人ではないかと思い、ジイドがフランス人であるからには、多分ジイドはあのような系統に属する人に相違ないと思い始めたのが、はじまりである。
翌朝私が食堂へ出かけて行くと、また例の紳士が現れていて、今度は私に背を見せ、三間ほど向うのテーブルで読書している姿が見えた。このときには、斜に足を組み、眼鏡をかけている。一眼で明らかにこれはジイドだと私は思った。ボーイを呼んであれはどういう人かと訊ねてみると、あれはフランスの有名な文学者ですとの答えである。それならもう疑うところはない。まさしくジイドだ。それにしても、何んとこの人は前から見るときと、後から見るときと、変って見える人であろうか。