후리가나로 읽는 일본 고전
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면
三月六日
今にも足もとが海中へ辷りそうだ。眼まいがする。これかと思う。
三月六日
朝、晴天。いよいよ魔の海に入る。全く波無し。折から海豚の群舷側に現る。横転逆転。飛び上るもの、捻じれるもの。次ぎから次へと現れる。中には巨大な鱶の腹もある。
同日午後四時、ペナンに入港す。この地は恐らく船客の何人も、眼中に入れていなかった所であろう。しかし、私にとっては上海、香港、シンガポールと来た土地の中では、最も気に入った所である。夕立の後であろう。空気は清澄で、街は閑雅、静寂、全市が一つの公園だ。樹木が繁茂し、建築物が優雅であり花の種類がシンガポールに劣らない。まことに雅致掬すべき街だ。名所とて殆どないがどこを見ても私には名所である。
ペナンの事は、あまり書く気が起らない。好きな所というものはこんなものだ。ここには問題もない。作者が自分の家庭内の出来事を小説に書くことは、罰のあたった事と同様である。もう夢幻のごとし。書くことほど馬鹿なことなし。
私の着ている夏服は、東京で三人より着ていない。印度のセメントを入れる荒い麻袋で造ったものだが、これを見破ったものは、シンガポールの両替屋の馬来人が最初である。