후리가나로 읽는 일본 고전
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면
三月五日
十一時に終る。船までの帰りを日日新聞の特派員柳重徳氏が自身自動車を運転して送ってくれる。柳氏は少し酔って手もと危険と見えたが感じの良い青年なので、生命を託す気になった。月が沖天に昇り、まさに清涼爽快、椰子の幹高く連る中を疾駆する。
三月五日
正午、シンガポール出帆。マラッカ海峡に入る。夜の九時より十一時ごろまで、佐藤次郎の話がサロンを賑わす。丁度佐藤の飛び込んだ時間だからだ。船長はそのときの苦心を話した。乗客の中にも、そのときの乗客のイギリス人が今もこの船に一人いるとのボーイの話だ。
後より来たイギリス船は佐藤の死体の浮いているのを見たと云う。私は佐藤次郎と語ったことはないが、資生堂でときどき黙っている氏の横のテーブルに坐り合せて見ていた事がある。それも氏の出発幾日か前の事だ。ボートの金具二つ(重量十貫)を身体に巻いたと見えて無くなっていたとの事。原因は誰にも分らない。このあたりから後一日の間の海峡を魔の海と云って飛び込む者が一番多いという。海面は鏡の如く坦々としている。蒸し暑い。私は夜中ひとり佐藤次郎の飛び込んだ場所へ立って下を覗いてみた。ここだけは欄干がない。