후리가나로 읽는 일본 고전
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면
私は少年のときから、幸福というものを夢想する度に、スイスの湖辺が頭に浮び、シロンの城の水辺が偶像となって現れたものである。
今私のこの昔日の幸福の一端の中に浸入し得たものは、白いボールの音である。瞬間、たしかに私は幸福を見たと思った。このかすめ去った感覚の一片こそ、永遠に通じるただ一条の道にちがいない。地上の変化無限といえども、モントルウの風景の粛然たる静止こそ、絶頂を極めた森々乎とした静止である。山頂の茜ほのかに染まった雪の高さを眼で追いつつロザンヌに来る。ホテルの観台から見る湖上には月がのぼっている。月というものは、いつ見ても同じである。日本の秋草にのぼる月の美しさが身にしみ渡り、早く日本に帰りたいと、郷愁そぞろに起って窓を閉める。夏の終りの出羽の山々越後の山が、稲の中から浮き上っている風景が何物にも代え難く懐しい。
日本に帰るには先ずパリーへと、翌日ジュネーヴまで戻る。ここは琵琶湖の入海の部分を公園にしたと同じである。モントルウの風光を見た眼には、さらに何の感興も起らない。ただホテルの応接の各国に勝ったところは、さすがにスイスだと感心しただけだ。