후리가나로 읽는 일본 고전
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
横光 利一의 欧洲紀行(おうしゅうきこう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 120,107자 · 241화면
こんなことに気づかぬドストエフスキイではあるまい。つまり、ロシア本国を、何故にロシア人が互に軽蔑し合って暮さねばならぬか、その残念な云い知れぬ口惜しさというものは、我慢出来るものではなかったのだ。
「ロシア精神を守れ。新しいロシア文学を起せ」こういう事をドストエフスキイがどうしても云い出さずにはいられなかったものが、この巴里には潜んでいるのである。
巴里の憂鬱という言葉がある。私もこの年まで、度々憂鬱は経験したが、こんな憂鬱な思いに迫られたことは、まだなかった。身が粉な粉なに砕けたように思われ、ふと取りすがったものを見ると、いずれも壊れた砕片だ。殊に雨にでも降り籠められれば、建物の黒さが身の除けようもなく心に滲み渡って来る。立ち騒ぐ人もなく雨の中で悠々と傘もささずに立話をしている人々の風景は、のどかどころではない。
いら立たしい感情はどこへかかき消え、うんとも声の出ない憂鬱さが腰かけている椅子の下から這い上って来る。何ともかとも身の持ち扱いに困るのだ。
巴里にはリリシズムというものが、どこにもない。何とかかとか、旅人を喜ばす工夫に熱中して、うっとりする物ばかりふん段に並べ立ててはくれるのだが、そんな物にはびっくりも出来ず、向うの下心ばかりがいやに眼につく。