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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
02 こけ猿の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 241,861 字 · 480 页
旅の衣は
一
ツと立ちどまって、空を仰いだ源三郎、
「あ、星が流れる……ウ、ム……さては、ことによると、司馬道場の老先生が、お亡くなりに――し、しまったっ!」
「あばよ」
左膳は横町へ、
「星の流れる夜に、また会おうぜ」
ひとこと残して、ズイと行ってしまった。
もの思いに沈んで、うなだれた源三郎は、それから品川へ帰って行く――。
根岸の植留が、司馬道場へ入れる人工をあつめていると聞きだして、身をやつして桂庵の手をとおしてもぐりこんだ源三郎、久しぶりに八ツ山下の本陣、鶴岡市郎右衛門方へ帰ってきますと、安積玄心斎はじめ供の者一同、いまだにこけ猿の茶壺の行方は知れず、かつは敵の本城へ単身乗りこんで行った若き主君の身を案じて、思案投げ首でいました。
旅の衣は
一
吉田通れば二階から招く、しかも鹿の子の振り袖で……そんな暢気なんじゃない。
その吉田は。
松平伊豆守七万石の御城下、豊川稲荷があって、盗難よけのお守りが出る。たいへんなにぎわい――。
ギシと駕籠の底が地に鳴って、問屋場の前です。駕籠かきは、あれは自分から人間の外をもって任じていたもので、馬をきどっていた。
馬になぞらえて、お尻のところへふんどしの結びを長くたらし、こいつが尾のつもり、尿なんか走りながらしたものだそうで、お大名の先棒をかついでいて失礼があっても、すでに本人が馬