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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

「講談雑誌」博文館、1922(大正11)年9月~1926(大正15)年5月<br>よき夫婦、復讐とげられる、右京次郎団、兄妹邂逅大団円「現代大衆文学全集 第六巻 国枝史郎集」平凡社、1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 335,908 字 · 669 页

青空文庫

荒玉梟帥

彼らの季節が来たからであった。だが小鳥達はそれに反し、小さく体を縮めながら、籠の中で顫えていた。そうして温室では冬の花が真紅の色に咲いていた。

荒玉梟帥

「どうしたのだろう、来ないのかな」

大物主は不安そうに云い、それから谷の方をじっと見た。

谷は深く暗かった。すくすくと喬木が聳えてい、そうして雪に埋もれていた。

「参らない筈はございますまい。一旦参ると申したからには」

こう云ったのは山津主であった。彼はこの国の総理大臣とも云うべき六十を過ごした老人であった。

「だが、要するに獣人だ、平気で嘘を云うかもしれない」

こう云ったのは吉備主で彼は本城の侍従頭で、瀟洒たる風采の持ち主であった。

一同は誰かを待っているのであった。

その時、谷の断崖を上り、一人の大男が現われた。

それは真に巨大な男で、普通に形容をしたところで、信じられないような人間であった。山上の冬は寒いのに腰に毛皮を纏っているばかり、後は全くの赤裸であった。

城門の方へ近寄って来た。

二重の城門を潜る時にも、肩を下げなければならなかった。

近寄るままによく見れば、青銅造りと云いたいような青黒い皮膚の到る所に漆黒の毛が生えていた。