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ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

「東京日日新聞」1933(昭和8)年11月7日~1934(昭和9)年4月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 191,184 字 · 379 页

青空文庫

十八

詰める詰める詰める詰める!

気はあせっても技量の相違、意気は余っても剣技の拙さ! 次第次第に後退がる織江、縁まで出たが足踏み辷らせ、ドッと庭へ顛落した。

してやったりと九十郎、つづいて飛び下りグーッと一突き!

が、とたんに中央の廃屋から、何物かドッと投げ出された。

「わーッ」

悲鳴!

「木乃伊だーッ」

お浦の手によって投げ出された木乃伊が、九十郎の胸にあたり、崩れてバラバラ地に落ちた。

恐怖!

タジタジとよろめいた隙に、飛び起きた織江斬り込んだ。

一合!

火花!

飛び違った。

隙なく斬り立てる九十郎! その鋭い太刀風に、タジタジタジ、後へ後へと、あせりながらも退く織江! 南無三宝草の根につまずき、

「あッ」

倒れた!

「くたばれーッ」と、斬り下ろそうとした九十郎の、肩のあたりにまたも木乃伊――縁に現われたお浦の手から、投げつけられた木乃伊が中って、

「わッ」

飛び退いたのを天の与えと、織江は飛び起き、

「父兄の敵イーッ」

自身死ぬ気で斬り込んだが、

「何を女郎!」

と横へ払い、九十郎は踏み込み踏み込んで行く。

屋内に飛び込み狂女のお浦、三つ目の木乃伊を抱えて来たが、縁の上で地団駄を踏み、