Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
三
夏中、百射をつづけるというので、きょうもその幾日目かであった。
大勢の近侍が、忠利を取り巻いて、矢を抜きに駈けたり介添えしたり、また、固唾をのんで、弓鳴りを見まもっていた。
「手拭、手拭」
忠利は、弓を立てた。
汗が眼に流れこむほど、射疲れていた。
角兵衛は、その機に、
「殿」
と、側へひざまずいた。
「なんじゃ」
「あれに、佐々木小次郎が参って御拝謁を待っております。おことばを戴きとうぞんじまする」
「佐々木? ああそうか」
忠利は眼もくれないで、もう次の矢を弦に懸け、足をふみ開いて、弓手を眉の上に翳していた。
三
忠利ばかりでなく、家臣たちも誰ひとり、控えている小次郎に、眼をくれる者はなかった。
やがて百射が終ると、
「水、水」
忠利は、大息でいった。
家臣たちは、井戸水を揚げて、大きな盥に水を漲った。
忠利は、諸肌をぬぎ、汗を拭いたり、足を洗った。側から家来が、袂を持ったり、新しい水を汲んだり、介添えは怠りないが、それにしても、いわゆるお大名の仕草ともみえぬ野人ぶりであった。
国許にいる大殿とよばれる三斎公は茶人である。先代の幽斎は、それにもまして風雅な歌人であった。