Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
円
一
しかし、武蔵は、もうそれに心を屈しなかった。むしろ愚堂の眼ざわりにならぬよう遠く離れて、日ごとに慕い歩いて行った。――その夜そのまま、岡崎に残して来た裏町の一庵も、そこの机も、一節切の竹花生も、また、隣のかみさんやら、近所の娘の眼やら、藩の人々の恨みや縺れやらも、今は一切、すべてを忘れ果てて。
円
一
京へ、京へ、道は近くなる。
察するに愚堂は、京へさして歩いているのであろう。花園妙心寺は、その総本山でもあるし――。
だが。
その京都へはいつ着くことやら、禅師の旅は気まかせだった。雨に降りこめられて木賃から出て来ない日、武蔵が窺ってみると、又八に灸をすえさせていた。
美濃まで来た。
そこの大仙寺には七日もいた。彦根の禅寺にも幾日か泊った。
禅師が木賃に泊れば、附近の木賃へ。寺ならば寺の山門へ、武蔵はどこにでも寝た。そしてひたすら、禅師の口から一言の教えを授けられる機会を待った。いやそれを追いつめて行ったのだった。
湖畔の寺の山門に寝た晩、武蔵は、今年の秋を知った。いつか秋だった。
顧みると、わが身のすがたは、まるで乞食のようになっている。蓬々と伸びた髪の毛も、禅師の心の解ける日までは、櫛を入れまいとしていたし、風呂にも入らず、髯も剃らず、雨露にまかせた衣服はつづれ、腕も胸もかさかさと、松皮のような撫で心地