Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

六

かを惧れ案じて、会うての上のことばすら、見つからなかった。

岸へ上がって佇んでいるおばばはまたおばばで、こよい武蔵と会ったら、先ず何よりも積年の怨みや誤解を水に流して、心の重荷を解きほぐしたい。また、その証として、彼が何といおうと、お通の生涯は、彼に託されなければならない。手をついて頼んでも、そうしてやらねばお通にもすまない――

などと独り、胸に誓いながら、水明りの宵闇を見まもっていると、

「――ばば殿か」

駈けて来た城太郎の影が、近づきながら呼びかけた。

六

「待ちかねていた。城太どのよ。――して、武蔵どのには、直ぐこれへ見えますかの」

「ばば殿。残念だ」

「え。残念とは」

「聞いてくれ。仔細はこうだ」

「仔細などは、後でよい。いったい武蔵どのには、これへ来るのか、来ないのか」

「来ぬ」

「なに、来ぬと」

ばばは茫然、そういって、お通と共に、昼から待ちぬいていた心の張りを崩して、見るにたえない失望の色を顔にあらわした。

――で、いい難そうに、城太郎がやがて説明していうには。

実はあれから、ややしばし、同藩の人々と共に、便船から上がって来る武蔵の軽舸を待っていたところ、いつになっても、沙汰もなし、軽舸も来ない。