Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
六
「ばかっ」
と、いい放った。
「な、なんじゃと」
ばばは、追おうとした。
だが、小次郎が手を抑えて離さなかったのである。小次郎は苦笑して、
「いわしておけ。子どものことだ……」
伊織は、もっと何か、胸につかえていたものをいおうとして、踏み止まったのであるが、眼は口惜し涙にかすんで、急に唇もうごかないのであった。
「なんだ小僧。――ばかといったようだが、それきりか」
「そ、それきりだいッ」
「あはははは。おかしな奴だ。はやく行け」
「大きなお世話だよ。見ていろ、きっと、この手紙は、先生に渡してやるから」
「おお届けるのだ」
「後で後悔するんだろ。おまえたちが、歯ぎしりしたって、先生が、負けるものか」
「武蔵に似て、負けない口をきく小僧弟子だ。だが、涙をためて、師の肩持ちをするところは可憐しい。武蔵が死んだら、わしを頼って来い、庭掃きにつかってやる」
揶揄ったのである。しかし伊織は骨の髄まで恥辱を覚えた。いきなり足もとの石を拾って、投げつけようとしたのである。その手を、無自覚に振りあげたせつな、
「餓鬼っ」
小次郎の眼が、はったと、自分のほうを見た。見たというよりは、眼の球がとびかかって来たような衝動だった。