Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

九

「おお武蔵どの。――又八だ。心配しながら、待っていたのだ」

思いがけなく、その又八が、声をかけて、無事を喜んだ。――が、

「どうして、此処へ」

と、武蔵は疑う。

しかしふと、辻堂の縁に、腰かけている人影に気づくと、彼は又八から仔細を聞いている遑もなく身を進めて、

「禅師ではございませぬか」

と、その脚下に額ずいた。

愚堂は、彼の背に、眼をそそいで、ややしばらくの間を措いてから、

「久しいのう」

といった。

武蔵も、面を上げ、

「お久しゅうござりました」

と、同じことをいった。

だが、その簡単な言葉のなかに、万感がこもっていた。

武蔵に取っては、自分が近来、突当っている無為から自分を救ってくれる者は、沢庵か、この人しかないと、待ちに待っていたその愚堂和尚であったから、あたかも、闇夜に月を仰いだように、愚堂の姿を仰いだのであった。

九

又八も愚堂も、武蔵がこよい、無事で帰るかどうかは、不安に思っていたのである。悪くしたら武蔵は、亘志摩の邸から帰らぬ者になるのではないか――などと憂いながら、それを確かめるべく、これまで来た途中だった。

夕方。

行き交いに、武蔵が出た後を訪ねたところ、隣家の筆職人の女房が、常々、武蔵の身辺に、案じられる節のあったことや、きょう侍の使者が見えたことなど――つぶさに聞かせてくれたので、