Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
三
しみじみ、歳月を覚えた。故郷を立った頃には、まだまだ半分以上も、交じっていた黒い髪も、一毛のこらず真っ白になっていた。
心の相も。
顔かたちも。
純一で、白いものに、立ち回っているように、自分の眼にも見えた。
三
(堺港を出る朔日の太郎左衛門船で、武蔵どのは、小倉へ赴くそうな)
かねて、武蔵が通過する節はすぐ知らせるといっていた姫路の城太郎から、斯くとの知らせに、
(どうしやる?)
問うまでもないが、お通へ心を訊くと、お通は、元より、
(行きます)
と、いう。
夕方はいつも、微熱が出て、大事に夜具へ身を容れているが、歩けぬほどな病気ではない。
(さらば)
と、直ぐ七宝寺を立ち、途中はお杉がわが子のように見まもって、一夜を、青木丹左衛門の屋敷に休み、
(豊前通いの便船なら、飾磨へは必ず寄る筈。一夜は、積荷を下ろすため、泊りとなろう。藩の人々も、出迎えに行くが、そなた達は、人目につかぬように、川尻の小舟にいたがよい。――会う機は、わしら父子が、よいように作って進ぜる)
と、丹左衛門のことばに、
(なにぶん)
と、その日、午ごろ飾磨の浦につき、川尻の舟に、お通をやすめ、以前、お通の乳母なる人の家から、何かと物など運ばせて、太郎左衛門船がはいるのを、今か今かと待ちかねていたのだった。