Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
二
「待て」
声が近づくと、丑之助は、痛む腰を忘れて、脱兎みたいに跳ね起きた。そして、十歩も駈けたかと思うと、その時、山門からはいって来たべつな者に、正面からぶつかった。
「丑之助ではないか」
「……あっ?」
「どうした」
木村助九郎であった。丑之助はあわてて、助九郎の後ろへかくれた。――で当然、彼を追って来た権之助と助九郎とは、何の予告もなく、いきなり眼と眼をまず激突させて、とたんに対峙の姿勢になってしまった。
二
眼と。そして、眼と。
そう二人のあいだに、険しい一瞬が発したせつなは、どんな争闘を捲き起すかと思われた。
助九郎の手は刀へ。権之助の手は杖へ。双方とも、ぴたと。しかし――
しかしそれが事なく、次のような会話へ移って、この場の真相を知りあうことができたというのは、相手の人間を観てとる鋭い直観力を、幸いにも二人が持ち合せていたためだったといえよう。
「旅の者。――仔細は知らぬが、何でこのような童を、大人げもなく打ちのめそうといたすか」
「異なお訊ね。その前にあれなる――塔の下に仆れている連れの者を御覧じ。その童のために、強かに打たれ、気も失うて苦しんでおる」