Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
二
寝ても眠られないのだ。
では。
その分らない物とは何、剣の工夫か、それのみではない。処世の方角か。そんなことにも止まらない。お通の問題か。否とよ、恋のみで、男がこんなにまで痩せ細ろうか。
すべてをつつんだ大きな問題だ。しかしまた、天地の大から観たら、ケシ一粒の小さい事かもしれない。
武蔵は、莚を身に巻いて、蓑虫のように石の上に寝ころんだ。――又八はどう寝ているだろう。苦しみを苦しまない又八と、苦しむために苦しみを追っているような自分と――思いくらべて、ふと羨ましかった。
「……?」
何を見たか、そのうちに武蔵は起き上がって、山門の柱を見つめていた。
二
山門の柱に懸っている長い聯の文字に、武蔵の眼はじっと対っていた。月明りに読まれるその二柱の字句を辿ってみると、
汝等請ウ其本ヲ務メヨ
白雲ハ百丈ノ大功ヲ感ジ
虎丘ハ白雲ノ遺訓ヲ歎ズ
先規茲ノ如シ
誤ッテ葉ヲ摘ミ
枝ヲ尋ヌルコト莫ンバ好シ
「…………」
これは開山大燈の遺誡の文にあった言葉かと思う。
――誤ッテ葉ヲ摘ミ枝ヲ尋ヌルコト莫ンバ好シ。
とあるそこだけを、心に沁みて読み返していた。
枝葉――
そうだ。いかに、葉や枝先にのみ、煩いを繁茂させている人間の多いことか。