Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
二
「木曾の奈良井から、この土地の酒醸りの杜氏へお嫁に来ている、おあんさんという人の家を知りませんか」
と頼りない手がかりを頼りにして尋ね歩いた。
おあんさんというのは彼が故郷で知っている人だった。この天野山金剛寺の附近に嫁いでいるというので、彼女が分ったら、亡母の位牌とかたみ髪を金剛寺へ納めて供養して貰おうという考え。
もし分らなかったら高野へ行こう。高野は貴人の供養所として、余り名だたる大家の霊が寄っているそうなので、旅人の貧賤では心もとない気もするが、ここが駄目だったらともかく高野山へ預けに行こう。
そう思っていたところ、
「ああ、おあんさんかね。おあんさんなら杜氏屋敷のお長屋にいるがな」
と、案外早くそれが知れた。
門前町の何屋かの内儀さんである。親切に先へ立って、
「この門をおはいんなすったら、右側の四軒目で、杜氏の藤六さんのお家かとお聞きなされ。おあんさんの御亭主じゃげな」
と、教えてくれた。
二
どこの寺でも、「葷酒山門ニ入ルヲ許サズ」は、法城の掟みたいになっているが、この天野山金剛寺では、坊舎で酒を醸酒っている。
もちろん、世上へ出しているわけではないが、豊臣秀吉などが、ここの寺製りの酒を賞美して、諸侯のあいだにも「天野酒」