Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
四
――このままでは、こちらの心も何となくすまぬ。沢庵どの、呼び迎えても来ぬかも知れぬ。これより駒をつらねて、武蔵野まで訪れようか」
起ちかけると、
「あ。お待ちください。手前もお供仕りますが、伊織へ返せと、師から申しつかって来た品があるので。――恐れ入りますが、伊織をこれへ、お呼びくださいませぬか」
と、彼へ手渡す例の古びた革の巾着を、懐中から出して、それへおいた。
四
伊織はすぐ呼ばれて来て、
「はい。何ですか」
目ばやく、眼はもうそこに置いてある自分の革巾着を見つけている。
「これを、先生からお前にお返しになった。お前の父の遺物だから、大事に持てと仰っしゃった」
権之助は、それと共に、師の武蔵がしばらくわれわれと別れて御修行の途に上るから、おまえは今日以後、当分はわしと共に暮すことになろうということをもいい渡した。
伊織はすこし不服顔。
だが、沢庵がいるし、安房守もいるので、
「はい」
と不承不承うなずく。
沢庵は、その革巾着が、彼の父親の遺物と聞いて、伊織の素姓についていろいろ糺してみると、祖先は最上家の旧臣で代々三沢伊織と名乗る家柄だという。
何代前かに、主家の没落にあい、戦乱の中で一族は離散してしまい、その後は諸国を漂泊って、父の三右衛門の代になってやっと下総の法典ヶ原に畑をもち、農夫となって住みついてい