Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
六
梅軒の喉は膨れて、顔と同じくらいな太さになった。こう満身から一声しぼり出したと思うと、鎖は、武蔵の右剣を――体ぐるみ、だッと前へ引き寄せた。
同時に、梅軒の体も、一手繰り鎖を寄せて、踏みこんで来た。
六
はからずも、武蔵は今日という今日、一代の不覚を取ったものではあるまいか。
鎖鎌という特殊な武器。それに対する予備知識がないではないのに。
かつて。
この宍戸梅軒の妻が、安濃の鍛冶小屋で、その実物を持って、宍戸八重垣流の形をして、武蔵に見せたこともある。
その折、武蔵は、
(――ああ見事)
と、見恍れたものである。
妻ですらこのくらいにつかうとしたら良人の梅軒の技はどれ程か、と思ったものである。
同時に、この滅多に出合わない――天下に使い手も少ない、特殊な武器の性能の怖るべきものだということも、十分に、弁えたはずであった。
鎖鎌についての知識は、自分でも今日まで、知り得たものとしていた。
だが、知識というものが、いかに生死の大事などにぶつかった咄嗟には、役立たないものか。――そう気づいた時すでに武蔵は、鎖鎌の持つ恐るべき性能に、完全に囚われていた。
しかも、梅軒だけに、彼は全力を向けていられなかった。