Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
五
顔も腕も、汗にぬれて、その汗に土が刎ねかかって、泥水を浴びたように、全身はくわっくわっと喘ぎぬいている。
戛――
戛――
つかれた鍬と、つかれた呼吸とが、次第に縺れ合って、眩いがしそうになって来ても、又八の手は止まらなかった。
そのうちに、何か、どすっと鍬の刃にぶつかった。細長い物が穴の底に横たわっている。彼は鍬を抛って、
「あった」
と、坑へ手を突っこんだ。
だが、鉄砲ならば、錆びぬように、油紙につつみこんで置くとか、箱に密閉してありそうなものだが、指先に触った物は、ちと変な感じのするものだった。
でも、幾分の期待をかけて、牛蒡を抜くように引っぱり出してみると、それは人間の脛か腕らしい一本の白骨だった。
「…………」
又八は、もう鍬を拾う気力もなかった。何かまた、夢をみているのではないかと自分を疑った。
槐の木を仰ぐと、夜露と星が燦めいている。夢ではない。槐の一葉一葉だって数えられる意識がある。――確かにあの奈良井の大蔵は、この木の下に鉄砲を埋けておくといった。それを以て秀忠を撃てといった。嘘であろう筈はない。そんな嘘をいったって彼に何の得もないことだから。