Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
漆桶
一
漆桶
一
石のうしろに寝ていた伊織は、はからずも二人の話をそのまま聞いていたのであるが、ただ怪しげなと不審を起しただけで、話の内容を解くことはできなかった。
だが、荷駄に乗った二人がそこを立つと、伊織もすぐ後から歩き出した。
「……?」
一、二度、怪しむように、先の二人は馬の背から彼を振向いたが、年齢や姿を見極めて、警戒するに足る程な者でないと考えたか、それから後には、少しも意に介していない様子であった。
それと間もなく夜になって、後も前も見えなくなって来た。そして道は、武蔵野の一端に出るまでは、ほとんど、降りどおしであった。
「オ、おやじ様。あれに、扇町屋の灯が見えはじめて来ましたぞ」
と一方の、若い頬かぶりをした前髪の影が、鞍の上から指さした頃――ようやく道もやや平坦になり、行く先の平野には、入間川の水が、闇の中に解いた帯のように蜿っていた。
先へ行く二人には何の警戒心もなかったようだが、後からついてゆく伊織は、子ども心にも、細心な気をくばって、二人に怪しまれないように注意していた。
(あの二人は泥棒にちがいない)
と――それだけは彼にも分っていたからである。