Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

三

その山小屋の巣も焼き払われてしまったので、手足にしていた手下も散ってしまい、今では、藤次は冬場だけ猟を稼ぎ、彼女は、お犬茶屋の内儀さんだった。

三

寝起きのせいもあろうが、藤次の眼は、まだ赤く濁っていた。

その眼が土間の水瓶を見ると、立って行って、柄杓からがぶがぶと、酔醒めを飲んでいる。

お甲は、床几へ、片手をついて、体を斜にして振向きながら、

「いくら祭だって、お酒も程々にしたがいい。――生命が危ないのも知らず、よく外で、刃物につまずかなかったね」

「何」

「油断をおしでないということさ」

「何かあったのか」

「武蔵が、この祭に来ているのを、おまえ、知っておいでかえ」

「え。武蔵が」

「ああ」

「武蔵とは、あの宮本武蔵か」

「そうさ。きのうから、別当の観音院へ来て泊っているんだよ」

「ほ、ほんとか?」

水瓶いっぱいの水を酔醒めに浴びたよりも、武蔵の二字は、藤次の顔をいちどに醒ましていた。

「そいつあ大変だ。お甲、てめえも店へ出ていないがいいぞ。野郎が、山を下りるまでは」

「じゃあおまえは、武蔵と聞いて、隠れている気かえ」

「また、和田峠の二の舞を、やるまでもねえだろう」