Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
三
そのために、城太郎とはちがって、殊に、躾を厳しくした。次の時代の侍を作り上げねばならぬと思った。
「先生。なにか御用でございますか」
「野末に大きな陽が落ちかけた。いつものように、木剣を把れ、稽古をつけてつかわそう」
「はいっ」
伊織は、二本の木剣を持って来て、武蔵の前におき、
「おねがい致します」
ていねいに頭を下げた。
三
武蔵の木剣は長い。
伊織の木剣は短い。
長い木剣は、青眼に、短い木剣も青眼に。いわゆる相青眼にあって、師弟は対い合っている。
「…………」
「…………」
草より出て草へ沈むという武蔵野の陽は地平線に仄かな余映を残していた。草庵の後ろの杉林はもう暗かった。蜩の声を仰ぐと細い月がその梢に忍び寄っている。
「…………」
「…………」
稽古である。勿論、伊織は武蔵の構えを真似て、自分も構えているのであった。打ってもいい、といわれているので、伊織は打って行こうとするが、思うように体が動かせないのである。
「…………」
「眼を」と、武蔵がいう。
伊織は、眼を大きくした。武蔵がまたいう。
「眼を見ろ。……わしの眼をくわっと見るのだ」
「…………」
伊織は、懸命に、武蔵の眼をにらもうとする。