Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
四
「打く先とは?」
「行けばわかる」
「わしの意志だ。行かなかったら……?」
――すると。
橋の左右を塞いでいた旅商人の杉蔵、源助と称するふたりが、槍の穂先へ、キラと陽を吸って、
「突き殺すまでだっ」
と、にじり寄った。
「何を」
いうとすぐ、権之助は、側へかかえよせていた伊織の背なかを、平手でどんと突いた。わずかにやっと、足を乗せて渡れるだけの幅しかない二本の丸木から、伊織は身をのめらしたので、
「――アッ」
声もろとも、二丈の余もある断層の底へ、自分から飛んだように、墜ちて行った。
咄嗟に、また、
「わうっ」
吠えた権之助は、翳し上げた杖から風を起して、一方の槍へ、われとわが五体を、たたきつけるように、飛びかかって行った。
四
槍が槍の働きを十分に示すには、秒間の時と、尺地の距離とが要る。
構えてはいたが――
また、せつなを外さず、繰手を伸ばしはしたが。
「しえっッ――」
と、喉でわめいたのみで、完全に、杉蔵は空を突いてしまった。そして途端に、体ぐるみ自分へぶつかって来た権之助と、折り重なったまま、
――どさっ
と崖へ尻もちついた。
転がり合ったせつな、権之助の杖は左手にあった。