Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
「おぬし、何屋じゃな」
「てまえは、打紐の売子でございます。この荷の中に――」
と、背に負っている小さい包みに首を曲げ、
「組紐の見本を持ちまして、近国遠国を注文を取って歩いておりますもので」
「ははあ、紐屋か」
「藤六どんの手づるで、金剛寺のお檀家なども、たくさんお世話していただきましてな。きのうも実は、例に依って、藤六どんの家へ泊めて貰うつもりでお寄りしました所が――こん夜はよんどころないお客が二人あるから、御近所の家で厄介になってくれと申され、同じ杜氏長屋の一軒で寝かして貰いましたわけで。……いえいえべつに貴方方のせいじゃございませんが、藤六どんとこへ泊ると、いつもよい酒をのませて貰えるので、寝るより実は、それが楽しみなんで……。はははは」
そう聞いてみれば、べつに不審に思う筋はない。権之助はむしろこの男が、附近の地理や風俗に詳しいのを幸いに、後学のため耳袋を養っておこうとするらしく、歩きながらの道々を、なにかと訊ねたり探ってみたり、いつか相手になっている。
すると天見の高原にかかって、紀伊見の峠から高野大峰のすがたが正面に見えてきた頃である。――おおウい、と後ろのほうから呼ばわる者がある。