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Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

――それをあの時、お許には、どうして、後へ戻って、庭さきから、此室の縁側へと、お廻りになられたのか? ……それが伺いたいものじゃて」

と、武蔵の顔を見入っていうのだった。

「…………」

武蔵は、ただ唇の辺に、にやにやと笑いを湛えるのみで、どうとも、その解説を与えなかった。

そこで、沢庵がいうには、

「いや、安房どの。そこが軍学者のお許と、剣の武蔵どのとの差じゃな」

「はて、その差とは」

「いわば、智を基礎とする兵理の学問と、心を神髄とする剣法の道との、勘の相違でござりましょう。――理からいえば、こう誘う者は、こう来なくてはならぬはずという軍学――。それを、肉眼にも、肌にも触れぬうちに、察知して、未然に、危地から身を避ける剣の心機――」

「心機とは」

「禅機」

「……では、沢庵どのでも、そうしたことがおわかりになるかの」

「さあ、どうだか」

「何にしても、恐れ入りました。わけて、世の常の者ならば、何か、殺気を感じたにしても、度を失うか、または、覚えのある腕のほどを、そこで見しょうという気になろうに――後へもどって、庭口から木履をはいてこれへお見えになった時は、実はこの安房も、胸がどきっと致しました」