Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「でも、お体に障りはいたしませんか」
「わしは、年来、そういう知己を待っていたのだ。わしの兵学は、子に伝えるため積んで来たのではない」
「いつも、お父上の仰っしゃっておらるることです」
「甲州流とはいうが、勘兵衛景憲の兵学は、ただ甲州武士の方程式陣法を弘めてきたのではない。信玄公、謙信公、信長公などが、覇を争っていた頃とは、第一時世がちがう。学問の使命も違う。――わしの兵学は、あくまで小幡勘兵衛流の――これから先、真の平和を築いてゆく兵学なのだ。――ああ、それを誰に伝えるか」
「…………」
「余五郎」
「……はい」
「そちに伝えたいのは山々だ。だけど、そちは今の武士と、面と対ってさえ、まだ相手の器量がわからぬほど未熟者じゃ」
「面目のう存じます」
「親のひいき目に見てすらその程度では――わしの兵学を伝えるよしもない。――むしろ他人の然るべき者に伝えて、そちの後事を託しておこう――と、わしはひそかにその人物を待っていたのじゃ。花が散ろうとする時は、必然に、花粉を風に託して、大地へこぼして散るようにな……」
「……ち、父上、散らないでください。散らないように、御養生遊ばして」