Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

七

「やッ、誰だっ? ……。おのれは何者だ。人ちがいするな」

と、いった。

三の太刀まで交わされた男の影は、はや肩で息をついていた。四の太刀はもう、自己の戦法の非を知って、中段にすえたまま、眼を刀の錺子に燃やし、じりじり迫り直して来るのである。

「だまれ。人違いなどいたそうか。平河天神境内に住む小幡勘兵衛景憲が一弟子、北条新蔵とはわしがこと。こういったら、もう腹にこたえたであろうが」

「あっ、小幡の弟子か」

「ようもわが師を恥かしめ、また重ねて同門の友を、さんざんに討ったな」

「武士の慣い、討たれて口惜しければ、いつでも来い。そういえば、佐々木小次郎、逃げかくれする侍ではない」

「おおっ、討たいでおくか」

「討てるか」

「討たいでか」

尺――また二寸――三寸。

詰め寄って来るのを見つめながら、小次郎はしずかに、胸をひらき、右手を腰の大刀へ移して、

「――来いっ」

と誘う。

はっと、その誘いに、相手の北条新蔵が、戒心を持ったせつなに、小次郎の体が――いや腰から上の上半身だけが――びゅっと折れて、肱の弦を切ったかと見えたが、

――ちりん!

次の瞬間に、彼の刀の鍔は、彼の鞘へ戻っていた。