Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
二
と、睨みつけた。
伊織は、ちょっと、驚いた眼をしたが、
「知らないよ、おらは。――おらはこの辺の者じゃないもの」
「…………」
女は歩いて来て、ふいに、自分でおかしくなったように、げたげた笑いだした。
「なんだい。何の用だえ」
「あのね」
「かあいい子だね、おまえ」
「おら、使いに来たんだけど、お邸が分らないで困っているんだよ。おばさん、知らないか」
「どこのお邸へゆくのさ」
「柳生但馬守様」
「何だって」
女は、何がおかしいのか、下品に笑い転けた。
二
「柳生様といえば、お大名だよおまえ」
と女は、そんな大身の所へ用があって行くという伊織の小さな身なりを、見下してまた笑った。
「――おまえなんぞが行ったって、御門を開けてくれるもんかね。将軍様の御指南番じゃないか。中のお長屋に、誰か知ってる人でもあるのかえ」
「手紙を持って行くんだよ」
「誰に」
「木村助九郎という人に」
「じゃあ、御家来かい。そんなら話は分ってるけれど、おまえのいってるのは、柳生様を懇意みたいにいうからさ」
「どこだい、そんなことはいいから、お邸を教えておくれよ」
「堀の向う側さ。――あの橋を渡ると、紀伊様のおくら屋敷、そのお隣が、京極主膳様、その次が加藤喜介様、それから松平周防守様――」