Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

三

人のいるところへ、人は殖えて来るのだった。

後から後からと、弥次馬はここへたかって来る。そして、

「まだか」

「まだか」

「どれが武蔵?」

「どれが清十郎で」

と、ざわ声を立てている。

さすがに、吉岡門下の一かたまりが見える附近へは立ち入って来ないが、乳牛院の原の彼方此方には、萱のあいだや樹の枝にまで、人の頭が、無数に見えた。

――その中を、城太郎は歩いていた。

例の体より大きな木剣を横たえて、足よりも大きな藁草履を履いて、乾いた土のうえをボクボクと埃を立てて歩きながら、

「いないな、いないな」

と、人の顔をキョロキョロ物色しながら、この広い原のまわりを周って歩いてゆく。

「――どうしたんだろ? お通さんは、きょうのことを、知らないはずはないのになあ。……あれから烏丸様のお館へも、いちども来ないし」

彼のさがしているのは、武蔵よりも先ず、その武蔵の勝敗を案じて、きっと、今日ここへ来ていなければならないはずの、お通の姿であった。

三

小指に怪我をしてもすぐ蒼くなるくせに、女は、案外、残忍なことだの血を見ることに、男とは違った興味をそそられるものらしい。

きょうの試合は、とにかく、京洛中の耳と眼をそばだたせている。